1996年に江戸東京博物館で開催された「近代版画にみる東京ーうつりゆく風景ー」展の図録です。
うつりゆく東京の姿を、大正期から昭和初期の版画をとおして展示し、現在・未来の東京を考えるという内容の展覧会。
明治時代のはじめ、近代版画の先駆者としての役割を担った小林清親は、光線画という新しい技法でそれまでの版画には見られなかった光と陰のゆらめく一瞬を、東京の夜景の中に見事に描き出す。
葛飾北斎らと並び称される風景版画家として登場した川瀬巴水は、作品の中に水を描きこみ、東京がかつて〈水の都〉であったことを随所に感じる美しい版画を多く残している。
1923年の関東大震災によって失われた東京の姿を平塚運一が独自の視点で描き出し、震災を境に生まれた都市の新風景を川上澄生や藤森静雄がつぶさに描く。
そして、近代化の代償として失われていった情景を「江戸」と「東京」という視点で比較し、現在そして未来の東京について考えていく。
それぞれの画家の目を通して描かれたそれぞれの「東京」が存在し、まるでその時代を生きているかのように佇み、ひとつの都市が移り変わってゆく様を追いかけることができる図録です。また時代の流れの中で変化してゆく、様々な版画技法に触れる楽しみも。
❖ 「近代版画にみる東京ーうつりゆく風景ー」展覧会図録 ¥2,500
編集:江戸東京博物館
発行:江戸東京博物館
発行年:1996年
状態:小口にシミがありますが、ヤブレなどなく、中は大変きれいな状態です。
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